厚生労働省「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」参画のお知らせ

平成25年6月、厚生労働省は、「歯科診療情報の標準化に関する実証事業」の実施会社としてに弊社を選定しました。 そして平成26年3月にその実施結果についての報告書を提出しました。
ここに、その背景や事業の内容についてご報告させていただき、厚労省の許可によりその詳細報告書を公開いたします。

この事業の目的は、身元不明遺体の身元確認を効率的かつ効果的に実施するために、歯科医療機関が所有する電子カルテ等から抽出される情報を標準化(標準化情報)し、 その標準化情報の有効性、妥当性等を実証することにあります。

東日本大震災では多数のカルテが津波で流失したうえ、残っていても形式がまちまちだったため、ご遺体との照合は困難を極めました。 作業を進める中で次のような問題が出てきました。

  1. 津波等による歯科医療機関の崩壊や流出によって、カルテやエックス線写真等の対象資料を収集に困難をきたしたこと。
  2. 残っていた歯科医療機関のコンピュータに保存されていたカルテや、紙のカルテの収集に努めたものの、歯科医療機関ごとに記録形式や記述内容はさまざまで、 統一的な形式に入力し直す必要があったこと。

寒さと足場の悪さに加えて電源が無いなどという劣悪な環境の中、現場に派遣された先生方は多くのご遺体の口腔内を清浄し、歯科情報の収集に取り組まれました。
しかし、身元確認を行うための標準化された歯科診療情報(標準化情報)が明確でないことが、身元確認作業の困難さに輪を掛けました。
一刻も早くご遺体の身元を明らかにし、ご遺族のもとにお返しすべく不眠不休で奮闘された先生方に、ただただ頭が下がるばかりです。

昨年になりますが、弊社は門田隆将氏の著作「尾根のかなたに」をWOWOWでドラマ化する際に、御巣鷹山の日航機事故で身元不明遺体の確認作業にあたる伊勢谷友介さん演じる歯科医師の医院の撮影に協力させて頂きました。

さらに、複数の弊社ユーザさんから身元不明遺体のカルテを検索したいというご要望があり、新たに自動検索システムを開発して無償でご協力させてきております。 こうした経緯もあって、ご遺体の身元確認の大変さや重要性は十分に認識してきた筈でした。

しかし、東日本大震災の悲惨な状況の中での身元確認作業のご苦労を知るにつれて、五感をもって身元確認作業を体験していない私どもには、先生方の本当のご苦労は想像を絶するところです。

それでも、弊社のもつカルテシステム(Opt.one®)の技術を少しでも先生方のお役に立てることができればと微力ながら取り組んでいるところです。

身元不明のご遺体の確認はこうした大災害や大規模事故の時ばかりでなく、警察にとっては日常的に重要な仕事であり、 歯科医療機関に協力がなされています。

しかし、対象資料が揃っている場合でも、上記②の記録が不統一であるという問題が大きく立ちふさがっています。

この度、ご遺体の身元を確認するための標準化情報を実証する一翼を担わせて頂くことになったことは、弊社にとって極めて光栄なことでありますが、 大学ベンチャー企業として大きな社会的義務と責任の重さを感じているところであります。

弊社の社名オプテックはOpen Technologyに由来しています。 レセプト機能を標準装備する弊社のカルテシステムは、患者や診療等のデータを他社のシステムに移行させない閉鎖的設計思想ではなく、 歯科医療機関が弊社のシステムから他社のシステムに入れ替える場合であっても、その移行にご協力できるオープンな設計および運用思想になっています。

こうして取り組んできたからこそ、歯科情報を標準化する今回の実証事業をお受けできたものと自負しております。 もちろん、オープンとはいっても個人情報を守るポリシーに矛盾をきたすことのない最先端の技術をご提供しております。

個人の身元確認には、レセプト発行を目的とした簡易的なカルテではなく、患者の状況を素直に写し取った問題志向型カルテ(POMR)が必須の情報源になります。

弊社は創業以来、社内の電子カルテチームで電子カルテを含む歯科医療機関の情報システムのあり方を研究してきております。

今回の実証事業の成果のさらなる社会貢献に向けて、全社一丸となって、少しでもお役に立てる歯科情報の標準化と、その有効性等を実証してまいります。

口腔内歯型検証

歯科新聞記事

朝日・読売新聞記事

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